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クーリーフの位置付け

[2025.10.07]

クーリーフの位置づけ

 

〜膝の痛みと向き合う新しい選択肢〜

 

「ヒアルロン酸注射を続けているけど、もうあまり効かない」
「手術まではしたくない。でもこの痛みはどうにかしたい」

 

そんな声に応える治療として注目されているのが、クーリーフ(末梢神経ラジオ波焼灼治療)です。

 


クーリーフとは?

 

クーリーフは、痛みを伝える神経を一時的にブロックする治療。
膝の周囲には、関節から脳へ「痛い」という信号を送る細い神経が走っています。
この神経に高周波エネルギーを流し、熱で“痛みの伝達”を止めます。

 

「神経を焼き切る」というよりも、
“神経を一時的に休ませる” というイメージに近い。


神経は時間とともに再生しますが、その間は痛みが弱まり、リハビリや日常生活を無理なく続けやすくなります。

 


どんな人に向いているか

 

クーリーフは、変形性膝関節症による慢性的な膝痛に適しています。
・ヒアルロン酸注射や鎮痛薬で効果が薄れてきた方
・手術を避けたい、またはまだ早いと考えている方
・痛みのために動くことが怖くなっている方

 

つまり、「保存療法と手術の間にある治療」です。
手術をしないまま痛みを軽くし、歩く力を保つための“橋渡し”のような存在。

 


MRIで「痛みの原因」を見極める

 

当院では、クーリーフを検討する前に膝のMRI検査を行っています。
その目的は、BML(Bone Marrow Lesion:骨髄病変)の有無を確認するためです。

 

BMLとは、膝の骨の中に起こる「小さな炎症やストレス反応」で、強い痛みの原因になることが多い部分です。
このBMLが広い範囲に見られる場合、痛みの主体は“骨そのもの”から来ていることが多く、クーリーフだけでは十分な効果が得られない可能性があります。

 

一方で、BMLがあまり見られず、
主に関節周囲の神経が関係していると判断できる場合は、クーリーフの効果が高い傾向にあります。

 

MRIを確認することで、
「神経性の痛みなのか」「骨性の痛みなのか」を見極め、最も適した治療を選択することができます。
このステップが、“効く人を見極める” ためにとても大切です。

 


治療の流れ

 

まず、エコー下に、局所麻酔による診断ブロックを行います。
この注射で一時的に痛みが軽くなれば、その神経が痛みの原因であるとわかります。

 

次に、エコー下で膝の周囲に細い針を挿入し、高周波電流を流して神経の働きを止めます。
“冷却機能”を併用することで、より広く・安定した範囲に作用します。

 

治療は日帰りで行え、全身麻酔は不要、30分ほどで終了します。
多くの方は1〜3日で効果を感じ始め、
半年から1年ほど痛みが軽くなることが多いです。

 


効果とその後

 

神経はゆっくり再生するため、時間の経過とともに痛みが戻ることもあります。
しかし、再施行が可能であり、「半年間リハビリや運動が続けられた」ことで筋力が戻り、結果的に痛みが軽くなるケースも少なくありません。

 

クーリーフは、“痛みを和らげて動ける時間を延ばす治療”。
人工関節手術を急がず、自分の膝で生活を続けたい人にとって有効な選択肢です。

 

メリットと注意点

 

クーリーフの最大の利点は、手術をせずに痛みを抑えられることです。
日帰りで受けられ、体への負担が少なく、薬の副作用もありません。
施術直後から歩行が可能です。

 

一方で、効果には個人差があります。
完全に痛みがなくなるというよりも、
「痛みが半分以下になる」「生活が楽になる」と表現されることが多いです。
また、BMLが強い症例では、痛みの再発が早い場合もあります。

 

まとめ

 

クーリーフは、膝の痛みに対して
「注射では足りないけれど、手術には早い」
そんな患者さんの希望に応える新しい治療法です。

 

MRIで痛みの原因をしっかり見極め、
神経由来の痛みであれば的確にブロックする。
これにより、再び動ける時間を取り戻し、
“自分の足で歩く人生”を少しでも長く保つことを目指します。

 

「痛みを抑えることは、動ける未来を取り戻すこと。」
クーリーフは、そのための一歩になる治療です。

 

 👉院長noteより

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