高齢者の背骨の圧迫骨折に対する手術
高齢化がすすみ、骨粗鬆症の患者さんも増え、背骨や股関節の骨折の患者さんは増えていくと思われます。
近年、骨粗鬆症性椎体骨折に対して、手術が行われています。
BKP(バルーン椎体形成術)、それにステントを併用するVBS(椎体ステント形成術)。
バルーンを骨折部位に挿入して膨らませ、潰れた椎体を持ち上げ、空洞にセメントを注入して固定します。ステントを併用することで、安定性が増します。
術後成績はよく、痛みがとれやすく、ADL(生活の質)が改善しやすいです。
合併症は、①椎体外へのセメントの漏出。ただしほとんどの症例が無症状。②隣接椎体の骨折。隣接する椎体が新たに骨折するリスクがあることが報告されています。これは、セメントによって修復された椎体が強固になる一方で、隣接する脆弱な椎体に負担がかかるためと考えられています。対策は、骨粗鬆症薬になります。③その他、感染症やアレルギー反応などがあります。
骨粗鬆症性椎体骨折の症例は、大抵が保存治療(安静、リハビリ)で改善しますが、約20%ほどの症例が痛みが強く、ADLが下がると言われています。そういう方には、BKPなどの手術がいい適応かと思われます。
僕の治療方針としては、コルセットを作成し、まず2週間安静。その間もベッド上でできる運動リハビリを行います。2週間後、少しずつ歩行訓練など日常生活を送るための訓練を開始します。そこで痛みが強く、手術を希望されれば、近隣の手術が対応できる病院に相談に行ってもらいます。幸いにも近くの松本病院が対応していただけるので、よく連携を取らさせてもらっています。
保存的加療でよくなるケースが多いですが、安静にしてても痛みが強い場合は、気軽にご相談ください😊