腰痛の重要な真実
今週の勉強会は、院長の田中 秀が担当しました。
腰痛の重要な事実があります。
1.永続的な腰痛は注意すべきだが、ほとんどの場合で危険ではない。
→ 腰痛が慢性的になることはあるが、多くの場合、重篤な病気ではなく、姿勢や運動による負担(もしかは不足)が原因。痛みが長期間続いても、重大な組織損傷を伴うことは少ないとされている。
2.加齢は腰痛の主な原因ではない。
→ 腰痛の原因として加齢だけを考えるのは誤り。実際には、加齢とともに椎間板や関節の変化が見られるが、必ずしも痛みと直接関係するわけではない。日常的な運動で筋力を維持することが、腰痛予防につながる。
3.永続的な腰痛は組織損傷と関連しないことが多い。
→ 腰痛が長期間続いても、必ずしも筋肉や骨の損傷があるとは限らない。多くの慢性腰痛は社会的や精神的な要因が関係している。
4.画像診断では腰痛の原因が特定できない場合が多い。
→ MRIやX線などの画像診断は、構造的な異常を確認できるが、それが痛みの原因とは限らない。むしろ、画像で異常が見つからなくても痛みがあるケースが多く、痛みの治療には必ずしも画像診断は必要ないとされている。
5.痛みを伴う動きは必ずしも危険ではない。
→ 痛みがあっても動くことで悪化しない場合が多く、動かないことで筋力低下や柔軟性の低下につながる可能性がある。痛みのある動作も少しずつ行うことで、痛みの軽減や機能の回復が期待できる。
6.腰痛は悪い姿勢が原因ではない。
→ 姿勢が悪いと腰痛になるという通念があるが、実際には姿勢と痛みの関連性は限定的。むしろ、同じ姿勢を長時間続けることが負担となるため、定期的な姿勢変更が大切。
7.コアの弱さは腰痛の原因にならない。
→ 腰痛に対して「コア筋群の強化」がしばしば提案されるが、コア筋が弱いことが腰痛の直接の原因とは限らない。腰痛は筋力だけでなく、他の要因とも関連しているため、総合的なアプローチが必要。
8.腰を曲げたり負荷をかけたりしても腰は弱くならない。
→ 腰を曲げる動作や負荷をかけることで腰が「壊れる」ことはなく、むしろ適度な負荷は筋肉や靭帯を強化し、柔軟性を保つために重要。日常生活での腰の使用を恐れすぎないことが大切。
9.痛みの増悪はあなた自身を傷つけているわけではない。
→ 痛みが増したとしても、それが身体の損傷や悪化を意味するわけではない。痛みは神経系の反応であり、必ずしも物理的な損傷と関連しているわけではないことがある。
10.注射、手術、投薬は大抵治療を意味しない。
→ 腰痛に対する治療として手術や注射が選ばれる場合もあるが、それらが完全な解決策になるとは限らない。適切な運動や生活習慣の改善が、長期的な腰痛管理に有効とされている。
腰痛に関する一般的な誤解があり、不要な恐怖心を軽減するための知識を広めるが必要です。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください👍
O’Sullivan, et al. Back to basics: 10 facts every person should know about back pain. British Journal of Sports Medicine 2020:54:698-699.