膝の水は抜くとクセになる?
「膝の水って抜くとクセになるんですよね?」
整形外科外来で、何度も聞かれる質問です。
膝の水を抜くとクセになる?気になる疑問を徹底解説
結論から言うと、
👉 膝の水は、抜いたからクセになるわけではありません。
👉 クセになるように見える原因は、膝の中の炎症が続いているからです。
膝の「水」の正体とは?
膝にたまる水の正体は、関節液(滑液)です。
関節液は本来、
- 関節の動きをなめらかにする
- 軟骨に栄養を届ける
- 衝撃を吸収する
という大切な役割を持っています。
しかし、膝の中で炎症が起こると、
関節液が必要以上に増えてしまう
これが「膝に水がたまる」状態。
つまり、
☑︎ 水が原因 → ×
☑︎ 炎症が原因 → ○
なぜ「抜くとクセになる」と思われるのか?
膝の水を抜いたあと、また水がたまることがあります。
これが「クセになった」と誤解される理由です。
でも実際は、
・水を抜くだけでは、炎症はまだ残っている
・炎症が続く → また水がたまる
膝の水を抜くメリット
実は、膝の水を抜くことには医学的な意味があります。
-
痛みを和らげる
関節内の圧力が下がり、痛みが軽減します。
-
関節の動きを改善する
水が多いと、曲げ伸ばしがしづらくなります。
-
診断のヒントになる
関節液の性状を見ることで、
・感染
・痛風
などの鑑別が可能です。
つまり、
「抜く=悪」ではなく、必要な医療行為です。
本当に大切なのは「水を抜くかどうか」ではない
重要なのは、ここです。
問題は「なぜ炎症が起きているか?」
膝に水がたまる原因
膝に水がたまる原因はさまざまです。
- 変形性膝関節症(最多)
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- リウマチ
- 痛風・偽痛風
- 感染性関節炎
- オーバーユース(使いすぎ)
つまり、
水は「結果」であって「原因」ではない。
ここを治療しない限り、水は何度でもたまります。
アンチエイジング的に見る「膝の水」
もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
膝の炎症の背景には、
- 筋力低下(特に大腿四頭筋)
- 体重増加
- 軟骨の老化
- 慢性炎症(inflammaging)
- 酸化ストレス
- 糖化ストレス
- 栄養不足(タンパク質・ビタミンDなど)
があります。
つまり、
膝の水は「老化のサイン」であることもある。
これは、
「膝だけ」の問題ではなく、
「身体全体」の問題。
膝の水の根本的な対策
膝の水に対する本質的な対策は、3つです。
-
必要なら水を抜く(対症療法)
痛みが強い場合は、無理に我慢する必要はありません。
-
炎症を抑える(原因治療)
- 薬物療法
- 注射(ヒアルロン酸、ステロイドなど)
- リハビリ
- 生活習慣の改善
-
膝を「老化させない」身体づくり(根本治療)
- 筋力トレーニング
- 体重管理
- 栄養(タンパク質・抗炎症栄養)
- 睡眠
- 運動習慣
ここまでやって初めて、
「水がたまりにくい膝」になる。
まとめ
☑︎ 膝の水は、抜いたからクセになるわけではない。
☑︎ 本当の原因は「膝の炎症」。
☑︎ 大切なのは「水」ではなく「膝の中で何が起きているか」。
田中整形外科医院 院長 田中 秀
