生殖腺プロテクター廃止について
小児の生殖腺防護をやめる理由とは?
近年、小児のX線撮影時に生殖腺(精巣や卵巣)を守るためのプロテクター(防護具)を使わない方が良いという考えが広がっています。その理由は、大きく3つあります。
1. 防護具が診断の妨げになる
防護具をつけると、撮影したい部分が隠れてしまい、正確な診断ができなくなることがあります。また、X線の量を自動調整する機能が誤作動し、逆に放射線を多く浴びてしまうこともあります。
☑︎最近のX線装置は進化しており、少ない放射線でも高画質な画像が撮れるため、防護具を使うメリットが減っています。
2. そもそも放射線の影響が昔より小さい
昔に比べて、X線撮影に必要な放射線の量は1/400以下に減っています。そのため、仮に生殖腺が直接X線を浴びたとしても、健康への影響はほとんどないレベルです。
☑︎防護具を使わなくても、被ばく量は非常に少なく、安全性が高い。
3. 生殖腺の正確な位置を特定するのが難しい
男の子の場合、精巣の位置は比較的わかりやすいですが、停留精巣(精巣が定位置にない状態)があると、正確に防護するのが難しくなります。
女の子の場合、卵巣の位置は外からはっきりわからないため、防護具を適切に当てるのが非常に困難です。その結果、誤って重要な部分を隠してしまい、病気の見落としにつながる可能性があります。
☑︎正しく防護するのが難しいため、最初から使わない方が安全。
【結論】
✔ 最新のX線技術では、生殖腺防護をしなくても安全性が確保されている。
✔ 防護具が診断の邪魔になることがあるため、むしろ使わない方が正確な診断ができる。
✔ 海外ではすでに防護具を使わない方針が主流になっている。
これらの理由から、小児の生殖腺防護は不要とされる方向に進んでいます。
田中整形外科医院 放射線技師より